2010年10月15日金曜日

時を窺う水溜りと穴

力線が胚の表皮の表側に接触した瞬間、その先端部にみるみる水がたまり始める。
『眼球』である。
水の眼を中心にして顔が作られる。顔には眼ばかりではなく、鼻や口や耳など
いくつもの穴がうがたれ、それらの水の眼や穴は感覚器官として、じっと、まだ見ぬ
外の世界をうかがっている。

2010年9月23日木曜日

ジェララバードにて。


汗まみれの臭い体を洗いたかった。
銃声の鳴り響く、穴だらけの部屋で 
トイレの隅に置かれたドラム缶に溜められた水を汲んだとき
石鹸をトイレの穴に落としてしまった。
躊躇していた手が穴に伸びていた。
取り出した糞まみれの石鹸を洗い
その石鹸で体を洗った。    『とにかく、身を清めていたかった』

2010年9月18日土曜日

ベルタ・キンスキーからの便り(習作)

270万発の銃弾。6万発の砲弾。2万発のロケット弾。3000万発の機関銃の弾。
もう彼女は終戦なんてどうでもよかった。
あとから平和が来ても、彼は帰ってこないのだから。
もぎ取られた羽を取り戻そうよ。
いずれ、世界中の兵器の火薬を花火にしてやるんだ。
そしてその時、僕らはやっと、アルフレッドにノーベル賞をあげることになるんだ。

2010年8月1日日曜日

影法師


学者はその賑わいを聞くことは無かったのです。なぜなら、彼はすでに自分の影に命を奪われていたからです。

2010年7月24日土曜日

茶釜Ⅱ

さいの目に切り刻んだ採れたての罪悪感を
ぐつぐつと煮えたぎる大鍋の中へ入れて、よく茹でた後
目の細かい網で掬い取り、水をよく切ってください。
あとに残るのは、『君だけ』

2010年7月3日土曜日


僕は声を荒げ僕の思いのたけを君に叫ぶ
君は震える声で僕に胸のうちを語る
君の顔が僕になる    僕の顔が君になる

2010年5月22日土曜日

1993年のつぶやき。

BOUNDARY DANCE

REAL DANCE
僕らはいずれ地球に終わりが来ることを悟っている。何となくその時は、新しい生活地を探す旅に出ると思い込んでいるが、はたして、地球上にいる人間のどれくらいが現実に終焉を迎える場において、地球を捨て違う星へ向かう気になれるだろうか。・・・僕は地球と一緒に終わるつもり。(1993年のメモより)

2010年5月10日月曜日

環境の力学

『目的もなく生まれ落ち、意味もなく生活を送り、死ぬとき、ただ消え失せてゆく』。こうした環境のもとでは
人は天才にならざるを得ない。さもなければ、威厳に満ちた部屋の、鍵をかけたドアの背後で、
クスクス笑って一生を終えるのだ。

2010年4月29日木曜日

愛のない毎日は自由な毎日

人間は良心の自由などという重荷に堪えられる存在ではない。私たちはたえず自分の自由とひきかえにパンを与えてくれる相手を探し求め、その前にひれ伏すことを望んでいるのだ。

2010年4月28日水曜日

ジョーク好き


虹が身を引き剥がそうとしている大地から、軽やかに離れ姿を変える。ジョーク好きのそれは、憎くもあり愛しくもある。

2010年4月8日木曜日

光る影

光が暴力の境位なら、最悪の暴力。つまり論に先行し、論を抑圧する無言と夜の暴力を避けるために、ある別の光をもって、この光と戦わねばならない。 (ジャック・デリダ)

2010年4月1日木曜日

umare-homare


泥まみれの手で土団子を何度も何度も丸めては乾いた土をすり込む。しばらくすると、光沢が出てくる。どんどんその黒い光沢に自分が吸い込まれてゆく。終わりを見極め、出来上がった土団子を、満面の笑顔で母親に自慢げに見せる。僕はそんな『生まれ』

2010年3月20日土曜日

名人 

  落語家  『桂米朝』

『これで、お中入りさせてもらいます。おあとをお楽しみに。』

釜ひとつ

『釜ひとつあれば、茶の湯なるを』 千利休

2010年3月18日木曜日

ニュース速報

ニュース速報。22番は今日で1週間たってしまったのですけれど、でも、もうそこには居なくなって、彼は花のように姿を変えました。『YMO nice ageより』

2010年3月9日火曜日

ウパニシャッドの飛行

そこには眼も届かず、言葉も心もたどり着けない。我々には識ることも、理解することもできない。どうしたらそれを教えられるのか。

2010年3月2日火曜日

life

われらの人生は発端と終末がまったくわかってないのである。

『これ』はまた『あれ』

未来の都市はどうなりますか?と尋ねられると私は決まってこう答える 『過去の都市のようになってほしい』 と。

life-Ⅱ

ちょっとしたことが違えば、たいしたことが違ってくるのが人生であります。

ある日突然、僕はどうしても旅に出たくなった。

どんな理由が僕を旅に駆り立てたにせよ、その長い時間はそれを発生せしめた、そもそもの理由なんか何処かに押し流してしまったのだ。