2012年8月26日日曜日

『カエルの子はおたまじゃくし』




やっと足のはえてきたおたまじゃくしが
見上げた先には
艶だったウグイス色のカエルが
しっかりと葉にしがみつき
オレンジ色の大きな目で獲物を狙う姿。
『カッコイイ!!』と思った。
早くカエルになりたいと
心底、思った。

2012年8月13日月曜日

『赤るいほう』




漁師の叔父が小さな俺を
かわいがってくれたのも
祖母がそうであったのも
実の子や孫が近寄らなかった
寂しさを紛らわすためと
ふと、感じ取ったとしても
目を閉じて、まぶたの裏の
赤い景色に隙間の光をまぶして
「ありがとう。ありがとう。」

2012年8月5日日曜日

『心象の深層の真相』



思い出に境界などない
現実に体験したことはもとより
夢で見たときの鳥肌や苦みまで
よく冷えたグラスにほうり込み
時(とき)のマドラーにてよくかき混ぜると
もう、なにがなんだか。。。
すべてが本当の出来事に。

2012年7月21日土曜日


『融けた蝋細工の羽』



手に余る怪物を
まだ、手なずけられると思っているのか。


2012年7月11日水曜日

『問題が問題





白い布にくるまれ
深い深い海の底へ
答えは出たのか
欲望に必要なものは「渇き」
探していたのは、答えなのか
それとも、答えてくれる人? 


2012年6月24日日曜日

『老魚の旅立ち』

「なにもいまさら 行くことはないのに。。」
仲間や子どもたちは口々に彼を引き留める。
それでも老魚は目の前の水面に顔をつけ
体を滑り込ませ、遥かなる大海の向こうを睨みつけた。
村人の心配と嘲笑と諦めをよそに、老魚は村を離れた。
くりかえす。
とてつもない不安と希望を抱え
漆黒の闇のなかへ消えていった。




静かな日常が戻った村には
諦めた空気と、ほのかな明日が残った。



2012年6月10日日曜日


『煌々』


破壊的なことがむしろ諦めと希望の始まりとする。
罪悪感を背負いながら。
自ら創るまばゆい光にあらがいながら・・・「それもまたそれ」と。

2010年11月25日木曜日

『どうしてそんなこと言うのよ』

『私はあなたが考えているより ずっと深く混乱しているのよ』
                   (ノルウェイの森 村上春樹)

もぎとられたものをもぎとれ

不言実行信奉者や経験主義の一方的な現実論に、
道半ばで、もぎ取られた背中の羽。
もし、まだ、根が残っているならば、
     『もぎとられたものを、もぎとれ』

2010年11月24日水曜日

ファンタジーの終焉

たとえ、恋に恋焦がれ、
愛に愛されるファンタジーに終わりが来ようが、
リアリズムに『希望』と言う名の血を
流し続ける。

2010年10月26日火曜日

『酒癖』

大正生まれの親父はとにかく酒癖が悪く、手がつけられなかった。
親からもらった『清保』という名前を戦後、
こんな世界で清く生きられるかと自分で臨機応変の『臨』に変えた。
俺は今でも親父が死ぬまで酒癖が悪かったのは
戦争のせいだと思っている。

2010年10月15日金曜日

時を窺う水溜りと穴

力線が胚の表皮の表側に接触した瞬間、その先端部にみるみる水がたまり始める。
『眼球』である。
水の眼を中心にして顔が作られる。顔には眼ばかりではなく、鼻や口や耳など
いくつもの穴がうがたれ、それらの水の眼や穴は感覚器官として、じっと、まだ見ぬ
外の世界をうかがっている。

2010年9月23日木曜日

ジェララバードにて。


汗まみれの臭い体を洗いたかった。
銃声の鳴り響く、穴だらけの部屋で 
トイレの隅に置かれたドラム缶に溜められた水を汲んだとき
石鹸をトイレの穴に落としてしまった。
躊躇していた手が穴に伸びていた。
取り出した糞まみれの石鹸を洗い
その石鹸で体を洗った。    『とにかく、身を清めていたかった』

2010年9月18日土曜日

ベルタ・キンスキーからの便り(習作)

270万発の銃弾。6万発の砲弾。2万発のロケット弾。3000万発の機関銃の弾。
もう彼女は終戦なんてどうでもよかった。
あとから平和が来ても、彼は帰ってこないのだから。
もぎ取られた羽を取り戻そうよ。
いずれ、世界中の兵器の火薬を花火にしてやるんだ。
そしてその時、僕らはやっと、アルフレッドにノーベル賞をあげることになるんだ。

2010年8月1日日曜日

影法師


学者はその賑わいを聞くことは無かったのです。なぜなら、彼はすでに自分の影に命を奪われていたからです。

2010年7月24日土曜日

茶釜Ⅱ

さいの目に切り刻んだ採れたての罪悪感を
ぐつぐつと煮えたぎる大鍋の中へ入れて、よく茹でた後
目の細かい網で掬い取り、水をよく切ってください。
あとに残るのは、『君だけ』

2010年7月3日土曜日


僕は声を荒げ僕の思いのたけを君に叫ぶ
君は震える声で僕に胸のうちを語る
君の顔が僕になる    僕の顔が君になる

2010年5月22日土曜日

1993年のつぶやき。

BOUNDARY DANCE

REAL DANCE
僕らはいずれ地球に終わりが来ることを悟っている。何となくその時は、新しい生活地を探す旅に出ると思い込んでいるが、はたして、地球上にいる人間のどれくらいが現実に終焉を迎える場において、地球を捨て違う星へ向かう気になれるだろうか。・・・僕は地球と一緒に終わるつもり。(1993年のメモより)

2010年5月10日月曜日

環境の力学

『目的もなく生まれ落ち、意味もなく生活を送り、死ぬとき、ただ消え失せてゆく』。こうした環境のもとでは
人は天才にならざるを得ない。さもなければ、威厳に満ちた部屋の、鍵をかけたドアの背後で、
クスクス笑って一生を終えるのだ。

2010年4月29日木曜日

愛のない毎日は自由な毎日

人間は良心の自由などという重荷に堪えられる存在ではない。私たちはたえず自分の自由とひきかえにパンを与えてくれる相手を探し求め、その前にひれ伏すことを望んでいるのだ。