2013年7月15日月曜日

『滅びの世界』





此処にいた我々の祖先は
自ら命を絶ったそうだ。
そう、まだ「心」の場所が
わからなかった時代の話だよ。
今も昔も、人間てのは
要らなくなれば捨てたくなる。
隙間があれば開けたくなる
引き金があれば引きたくなる
赤いボタンがあれば押したくなるものなんだよ。
理由なんてそんなところさ。

2013年5月10日金曜日




『ロードランナー』

いつの日か、ワイル・E・コヨーテは
勝利を収めることになるだろう。
もしそうなったとしたら、それは
彼が鶏肉のサンドイッチを
食べたかったからではなく
燃え盛る欲望を身の内に
抱えていたからである。
彼はその代価を支払うことになる。
何マイルも何マイルもひたすら
走り続けることになる。
そしてある日、彼は
正しいプランを発見するだろう
きっとそうなるはずだ。

                Tom  Jones



2013年4月16日火曜日

『一匹の修羅』



アリョーシャは  
行き場のない怒りに身を震わせている
リリーは
裏切られたことをまだ
受け入れられないでいる。
旅人は
悪気のない親切に振り回され
舞台では悪意に満ちた喝采を受ける。
そんな冷徹な賭けの日々に
ルシュニアモフは
戻る決意をした。
そう、ほかならぬ愚行の連鎖に
今なら戻れる気がした。





2012年11月30日金曜日

『遠くの出来事と近くの小枝』




裏切りと策略、欲望が底をなくし
見え透いた表向きのコメントに
声を上げるのも疲れつぶやく。
そんな出来事など
知るすべもなく。
彼女は今日も火を熾すため
枝を集める。
きっと頭のいい人たちが
隣村との殺し合いを止め
もっと近くに飲み水の汲める
場所が現れ、下の子の病を
たちどころに治してしまう、
そんな明日を思いながら。



2012年11月25日日曜日

『暗がりに立ち尽くし見える』



何をやっても駄目なリコ。
周りからはいつも、
ダメな子だと蔑まれ。
さらにダメなふりをして笑い飛ばす。
おりこうさんのヌーノ。
周りからは
「がんばりやさんねぇ」と決めつけられ
それに応えようと、無理して頑張る。
ずば抜けた才能のボリノ。
周りの腫れものを触るかのような
一人ぼっちの扱いの日々に、
小さくつぶやく。

2012年10月14日日曜日

『募り積もる』



満足のいく日々など
とうの昔に置いてきた
多くの失敗と
取り返しのつかないことを
背負い前を向く。


2012年9月23日日曜日

『 帰還 vamacular 』





私のこの宇宙船の生活のような日々は
もはや、行き着いた果てに立ち尽くしているようだ。
大半が、逆らう煩わしさより
体制の正義にひれ伏す容易さを選択
それが正しいのだと信じて生きてきたのに
モニターからは乾いた色で
遥か昔の乱世の時代劇。はき捨てるよう
役者がつぶやく




”正しすぎるということは
もはや間違っていることと
同じではござらぬか。




















2012年8月26日日曜日

『カエルの子はおたまじゃくし』




やっと足のはえてきたおたまじゃくしが
見上げた先には
艶だったウグイス色のカエルが
しっかりと葉にしがみつき
オレンジ色の大きな目で獲物を狙う姿。
『カッコイイ!!』と思った。
早くカエルになりたいと
心底、思った。

2012年8月13日月曜日

『赤るいほう』




漁師の叔父が小さな俺を
かわいがってくれたのも
祖母がそうであったのも
実の子や孫が近寄らなかった
寂しさを紛らわすためと
ふと、感じ取ったとしても
目を閉じて、まぶたの裏の
赤い景色に隙間の光をまぶして
「ありがとう。ありがとう。」

2012年8月5日日曜日

『心象の深層の真相』



思い出に境界などない
現実に体験したことはもとより
夢で見たときの鳥肌や苦みまで
よく冷えたグラスにほうり込み
時(とき)のマドラーにてよくかき混ぜると
もう、なにがなんだか。。。
すべてが本当の出来事に。

2012年7月21日土曜日


『融けた蝋細工の羽』



手に余る怪物を
まだ、手なずけられると思っているのか。


2012年7月11日水曜日

『問題が問題』





白い布にくるまれ
深い深い海の底へ
答えは出たのか
欲望に必要なものは「渇き」
探していたのは、答えなのか
それとも、答えてくれる人? 


2012年6月24日日曜日

『老魚の旅立ち』

「なにもいまさら 行くことはないのに。。」
仲間や子どもたちは口々に彼を引き留める。
それでも老魚は目の前の水面に顔をつけ
体を滑り込ませ、遥かなる大海の向こうを睨みつけた。
村人の心配と嘲笑と諦めをよそに、老魚は村を離れた。
くりかえす。
とてつもない不安と希望を抱え
漆黒の闇のなかへ消えていった。




静かな日常が戻った村には
諦めた空気と、ほのかな明日が残った。



2012年6月10日日曜日


『煌々』


破壊的なことがむしろ諦めと希望の始まりとする。
罪悪感を背負いながら。
自ら創るまばゆい光にあらがいながら・・・「それもまたそれ」と。

2010年11月25日木曜日

『どうしてそんなこと言うのよ』

『私はあなたが考えているより ずっと深く混乱しているのよ』
                   (ノルウェイの森 村上春樹)

もぎとられたものをもぎとれ

不言実行信奉者や経験主義の一方的な現実論に、
道半ばで、もぎ取られた背中の羽。
もし、まだ、根が残っているならば、
     『もぎとられたものを、もぎとれ』

2010年11月24日水曜日

ファンタジーの終焉

たとえ、恋に恋焦がれ、
愛に愛されるファンタジーに終わりが来ようが、
リアリズムに『希望』と言う名の血を
流し続ける。

2010年10月26日火曜日

『酒癖』

大正生まれの親父はとにかく酒癖が悪く、手がつけられなかった。
親からもらった『清保』という名前を戦後、
こんな世界で清く生きられるかと自分で臨機応変の『臨』に変えた。
俺は今でも親父が死ぬまで酒癖が悪かったのは
戦争のせいだと思っている。

2010年10月15日金曜日

時を窺う水溜りと穴

力線が胚の表皮の表側に接触した瞬間、その先端部にみるみる水がたまり始める。
『眼球』である。
水の眼を中心にして顔が作られる。顔には眼ばかりではなく、鼻や口や耳など
いくつもの穴がうがたれ、それらの水の眼や穴は感覚器官として、じっと、まだ見ぬ
外の世界をうかがっている。

2010年9月23日木曜日

ジェララバードにて。


汗まみれの臭い体を洗いたかった。
銃声の鳴り響く、穴だらけの部屋で 
トイレの隅に置かれたドラム缶に溜められた水を汲んだとき
石鹸をトイレの穴に落としてしまった。
躊躇していた手が穴に伸びていた。
取り出した糞まみれの石鹸を洗い
その石鹸で体を洗った。    『とにかく、身を清めていたかった』